血液型の確率

[1] 血液型の遺伝について

 先日、小2の息子の所属しているカブ・スカウトに血液型を報告しなければならないので、近所の医院に行ってきました。医師は本当に必要な時に、調べれば良いとのことでしたが、検査してもらいました。ちなみに3000円でした。

 血液型の分類の仕方は、一般には、1900年オーストリアのLandsteiner(1868〜1943)が発見したABO式血液型が定着しています。占いや性格分析でもこの分類でされています。根強い支持がありますね。(他にもRh血液型等があるそうです。)

 ABO式血液型には、A型、B型、O型、AB型の4種類がありますが、どのように遺伝するのでしょうか。
 血液型は遺伝子によって決まります。この遺伝子にはA、B、Oの3種類があって、父親と母親から1種類ずつ遺伝します。つまり、人は誰でもこの遺伝子を2個持っているのです。だから、血液型A型といっても遺伝子型レベルまで考えるとAA型の人とAO型の人がいることになります。また、血液型B型の人はBB型とBO型の人がいます。(A型、B型はO型に対して優勢なので、AO型、BO型はそれぞれA型、B型になります。)
 

 遺伝子型に注目して血液型を分類すると、次の6種類になります。   

血液型 遺伝子型
O OO
A AA、AO
BB,BO
AB AB

下は、遺伝子型がAO型の父、BO型の母からO型の子供が生まれるモデル図です。



この両親から生まれる子供の血液型がA、B、AB、O型のすべての可能性があることは、下のような等式で説明できます。

(A+O)(B+O)=AB+AO+BO+OO


[2]血液型の確率

 『算数・数学なっとく事典』(日本評論社)の資料では日本人の4つの血液型の割合はO型→29%、A型→39%、B型→22%、AB型→10%で、ほぼ3:4:2:1です。

 さらに、遺伝子型まで考えると、下の表のようになります。  

《表1》

血液型 AA AO BB BO AB
29 31 19 10


必要によってこの《表1》を使い、両親の血液型から子供の血液型の確率を求めてみます。

(1)両親がO型の場合

(O+O)(O+O)=4OO  →100%O型の子供が生まれます。


(2)両親がO型、AB型の場合

(O+O)(A+B)=2AO+2BO

A型(遺伝子型はAO型)、B型(遺伝子型はBO型)の子供が生まれる可能性は1:1(50%:50%)です。


(3)両親がAB型の場合

(A+B)(A+B)=AA+2AB+BB 

A型(遺伝子型はAA型)、B型(遺伝子型はBB型)、AB型の子供が生まれる可能性は1:1:2(25%:25%:50%)です。

※(4)からは計算がちょっと面倒です。(《表1》を使います。)


(4)両親がO型、A型(遺伝子型はAA型またはAO型)の場合

 @ (A+A)(O+O)=4AO      →A型(遺伝子型はAO型)

 A (A+O)(O+O)=2AO+2OO →A型(遺伝子型はAO型)またはO型





5)両親がO型、B型(遺伝子型はBB型またはBO型)の場合

 @ (B+B)(O+O)=4BO       →B型(遺伝子型はBO型)

 A (B+O)(O+O)=2BO+2OO →B型(遺伝子型はBO型)またはO型

それぞれの確率は(4)と同様にして

(B型(遺伝子型はBO型)が生まれる確率)
≒0.43

(O型が生まれる確率)≒0.57


(6)両親がA型(遺伝子型はAA型またはAO型)の場合

@ (A+A)(A+A)=4AA         →A型(遺伝子型はAA型)

A (A+A)(A+O)=2AA+2AO    →A型(遺伝子型はAA型またはAO型)

B (A+O)(A+O)=AA+2AO+OO→A型(遺伝子型はAA型またはAO型)またはO型





(7)両親がA型(遺伝子型はAA型またはAO型)、B型(遺伝子型はBB型またはBO型)の場合

@ (A+A)(B+B)=4AB            →AB型

A (A+A)(B+O)=2AB+2AO       →AB型またはA型(遺伝子型はAO型)

B (A+O)(B+B)=2AB+2BO       →AB型またはB型(遺伝子型はBO型)

C (A+O)(B+O)=AB+AO+BO+OO →AB型またはA型(遺伝子型はAO型)またはB型(遺伝子型はBO型)またはO型

この場合、4種類のすべての血液型の可能性があります。それぞれの確率を計算すると、

(O型が生まれる確率)≒0.17

(A型(遺伝子型はAO型)が生まれる確率)≒0.26

(B型(遺伝子型はBO型)が生まれる確率)≒0.23

(AB型が生まれる確率)≒0.34


(8)両親がA型(遺伝子型はAA型またはAO型)、AB型の場合

@ (A+A)(A+B)=2AA+2AB       →A型(遺伝子型はAA型)またはAB型

A (A+O)(A+B)=AA+AB+AO+BO →A型(遺伝子型はAA型またはAO型)またはB型(遺伝子型はBO型)またはAB型

この場合、A型、B型、AB型の可能性があります。同様にしてそれぞれの確率が計算できます。

(A型(遺伝子型はAA型またはAO型)の生まれる確率)≒0.50

(B型(遺伝子型はBO型)の生まれる確率)≒0.20

(AB型の生まれる確率)≒0.30


(9)両親がB型(遺伝子型はBB型またはBO型)

@ (B+B)(B+B)=4BB         →B型(遺伝子型はBB型)

A (B+B)(B+O)=2BB+2BO    →B型(遺伝子型はBB型またはBO型)

B (B+O)(B+O)=BB+2BO+OO →B型(遺伝子型はBB型またはBO型)またはO型

B型、O型の可能性があります。それぞれの確率を計算すると

(B型(遺伝子型はBB型またはBO型)が生まれる確率)≒0.81

(O型が生まれる確率)≒0.19


(10)両親がB型(遺伝子型はBB型またはBO型)、AB型の場合

@ (B+B)(A+B)=2BB+2AB       →B型(遺伝子型はBB型)またはAB型

A (B+O)(A+B)=BB+AB+AO+BO →A型(遺伝子型はAA型またはAO型)またはB型(遺伝子型はBO型)またはAB型

この場合、A型、B型、AB型の可能性があります。同様にしてそれぞれの確率が計算できます。

(A型(遺伝子型はAO型)の生まれる確率)≒0.22

(B型(遺伝子型はBB型またはBO型)の生まれる確率)≒0.50

(AB型の生まれる確率)≒0.28


[3]まとめ

 上の結果を表にまとめてみます。(数字は%、−は可能性がないことを示します。)

《両親の血液型と子供の血液型の出現割合》

両親の組み合わせ O型 A型 B型 AB型
O×O 100
O×A 40 60
O×B 43 57
O×AB 50 50
A×A 16 84
A×B 17 26 23 34
A×AB 50 20 30
B×B 19 81
B×AB 22 50 28
AB×AB 25 25 50

(注;同一染色体上にAとBの遺伝子がのる場合(シスAB=cis AB)がまれにあり、この場合、片親がAB型でありながらO型の子が生まれたり、逆にO型の親からAB型の子が生まれることがあるそうです。)



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